研究概要 |
本研究では、理論的には全歩行者から取得可能な行動や表情といった外形的な特徴に着目し、歩行者の意識と歩行者の外形的な特徴の関係を分析する中で,歩行者空間の評価指標を開発する事を目的としている。本年度は、前年度の研究において評価指標への適用可能性が示された「笑顔」について、さらに検討を進めるとともに、歩行者のしぐさについて研究を行った。 (1)笑顔に関する検討 人の笑顔を数値化(1~100%)するシステム、オムロン社のスマイルスキャンを用いて、川越一番街、及び大宮駅西口の通常時の街路と歩行環境が改善された状況(歩行者天国)における歩行者の表情の分析を行った。その結果、笑顔の点数の平均値、最大値の双方において、歩行者天国時の方が通常時よりも有意に高くなる結果となった。 (2)しぐさに関する検討 モーションキャプチャシステムを用いて、大宮駅西口の通常時の街路と歩行環境が改善された状況(歩行者天国)における歩行者のしぐさを数値化し、比較を行った。分析に用いたサンプル数は少なかったものの、膝関節の角度の変位、頭部の垂直運動の大きさ、歩行スピードについて、歩行者天国時と通常時に違いがみられた。 以上の結果から、歩行環境の違いによって歩行者の表情、及びしぐさには違いが見られることが明らかになったと言え、これら歩行者の可視的特徴を評価指標とした歩行環境の評価が可能であることが示唆されたと考えられる。
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