研究課題/領域番号 |
22656121
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小檜山 雅之 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (10333577)
|
研究分担者 |
高橋 正樹 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (10398638)
|
キーワード | 超高層建物 / エレベーター / ロープ / 長周期地震動 / 振動制御 / 制振 / 協調制御 / 振動実験 |
研究概要 |
本研究は、地震による超高層建物のエレベーター被害を低減するため、これまで別々に設計されていた建物の制振装置とエレベーターロープの制振装置を協調的に制御することで、制御性能を飛躍的に高めることを目的としている。 今年度はまず、高さ240mの超高層建物・エレベーター連成系について、前年度設計・製作した時間スケールを1/10に縮小した試験体を用い、最適レギュレータ理論に基づく制御手法の振動低減効果を検証する実験を行った。制御方式に関し、(1)非制御の場合、(2)建物のみの応答低減を目的とした制御の場合、(3)建物とエレベーターロープの両方の応答を低減する制御の場合の3通りについて、実験により応答低減効果の比較を行った。その結果、(3)の建物とエレベーターロープの両方の応答を低減する制御方式のときに、建物の絶対加速度応答とロープの変位応答をいずれも良好に低減できることを確認した。実験結果は国際会議で発表した。 また、建物・エレベーター連成系に対して、地震動強度と建物応答レベルの時変化に応じて適切に制御対象を選択し、制御力を装置能力内に収めるように切り替える、周波数整形と可変ゲインフィードバック制御に基づいた制御手法を提案し有効性を検討した結果について、査読付き学術論文誌で発表した。加えて、建物と建物内部の設備(エレベーターや医療機器など)の協調制御に関し、建物と設備の両方に制振装置がある場合の制御手法を装置間の通信で共有する状態量の数と制御目的により分類し、制御手法間で性能を比較する解祈を行った結果について、国内学会発表ならびに査読付き学術論文誌への投稿を行った(2012年5月掲載決定)。そして、建物と建物内部の設備の協調制御に関し、特許の出願を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した建物・エレベーター連成系試験体の制御実験と解析を行い、国内学会発表1編、国際会議発表1編、査読付き論文投稿2編(1編は掲載済み、もう1編は掲載決定)、特許の申請1件と、硬究成果の公表を精力的に行った。
|
今後の研究の推進方策 |
まず縮小試験体を用いた建物・エレベーター連成系の制御実験について、実験データを補完的する目的で、パラメータ等を変更したケースの実験を行い、実験結果について詳細な分析を行う。そして、より効果的な応答低減手法を検討・提案し、この提案手法について、さらに実験を行うことで有効性を検証する。 研究成果は国内外の学会で発表するとともに、次年度は研究最終年度であるため、3箇年の研究を総括し、報告書に取りまとめる。
|