研究課題/領域番号 |
22656126
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
岩田 三千子 摂南大学, 理工学部, 教授 (70288968)
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研究分担者 |
土川 忠浩 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50180005)
土田 義郎 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (20227424)
延原 理恵 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (40310718)
安部 信行 八戸工業大学, 感性デザイン学部, 講師 (30433478)
村上 泰浩 崇城大学, 工学部, 教授 (10133563)
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キーワード | 高齢者 / 障害者 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン / 環境デザイン / 環境設計 / 評価 / 指標 |
研究概要 |
20011年度は、東日本大震災により、メンバーが被災したことや研究費の受託について不透明な部分があったために、活動の開始が遅れた。しかしながら、障害者、子ども、高齢者などを対象とした建築環境工学分野のバリアフリーデザインに関連する課題について、メンバー各自が更なる研究調査活動を行い、各メンバーよりそれらの成果について重要参考資料などが提出され継続的に情報交換を行うことができた。震災に関係する内容での個々の調査も行っており、高齢者や障害者を対象とする避難時の施設の配慮についての調査とともに、メンバーそれぞれが現地に赴いてボランティア活動にも取り組んだ。 また、関西を中心として2件の見学会を実施し、ユニバーサルデザインの観点から建築計画、人間工学および建築環境工学的な内容について、設計者および施主、建築企画分野の専門家などと、高齢者障害者などの利用者の意見を直接聞く機会を得た。 現時点では建築環境工学的な配慮については、企画設計段階で十分であるとはいえず、空間ができた後に問題点を見つけることが多い。予測できるはずのこのような問題点について、障害者や高齢者などに対する部分にとどまらないことも同時に確認できたので、建築計画分野との共同研究・企画・設計を行う機会を求める必要があることを再認識するとともに、さらなる今後の研究活動の方針と展開を見出すことができた。 一方、2011年度は、大阪府を中心として、福祉施設の住環境についてのアンケート調査を企画した。来年度引き続き、その回答を得て集計を行う予定である。このアンケート調査により障害者、高齢者、こどもなどを対象とした福祉住環境の構成要素を明らかにするとともに、環境工学分野の設計基準、評価基準の指標作成を目的とする新たな研究活動への一歩を踏み出すことができるとともに、福祉分野の建築環境の設計指標の構築に向けて飛躍的な成果が得られることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数回に渡って会議し互いの研究の内容について学び、意見交換を行った。また、建築計画分野の研究者との共同企画による見学会や現地調査などを通じて、ユニバーサルデザインの観点から建築計画、建築環境工学的な内容について、設計者および施主、建築企画分野の専門家などの意見を聞くとともに、高齢者や障害者の意見も聴取した。今年度は特に、東日本大震災の被災地にも赴き、申請時の内容を超えた研究活動、啓発活動を行った。現在、大阪府を中心とする福祉施設のアンケート調査を企画し、問題点の抽出と今後の課題について分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
福祉施設計画における光、音、温熱、空気などの建築環境工学的配慮について、おおよそ福祉施設の居住者や介護者を対象とした研究成果が少ないことから、その対応が不十分なところが否めなかったが、本研究を通じて、建築環境工学分野のこれまでの研究成果が設計に十分活用されていないこと、利用者(居住者、介護者などを含む)自身がその重要性に気づいていないこと、などの理由も加わって、その配慮に遅れが生じていることが明白になった。その内容について、現在、大阪府を中心とする福祉施設に対してアンケート調査を実施しようとしているが、本研究の将来的な目標に向けて、特に今年度は、「福祉施設設計・評価のための総合的な屋内環境指標を構築すること」ことについてのアンケート調査内容の分析に焦点を当て、評価項目の重要度、必要度などの点から整理して、光、温熱、音、空気の各分野の別に明らかにする予定である。
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