本研究では、建築基準法に基づく建築審査会について、建築審査会を設置している全国の自治体(特定行政庁)を調査対象とし、建築審査会が所掌する業務全般にわたる運用実態と執行体制について網羅的な調査を実施することにより、我が国における建築基準法集団規定を中心とした土地利用規制において、現行の建築確認制度に替わる建築許可制度の新たな導入を中心とした法制度の改正が将来行われた場合を見据えて、建築審査会が新たに果たすべきあり方の検討に資する知見を得ることを目的とする。 平成22年度については、全国の特定行政庁における建築審査会事務局担当を対象とした建築審査会の実態に係るアンケート調査のデータベースを作成・整理した。内容として、建築基準法における特例許可に関する同意案件の件数と審査の運用実態、(用途関連を中心とした)審査請求への裁決事例に関するデータ(審査請求の性格(建築確認の取り消し請求、許可の取り消し、違反是正命令の取り消し、等の内容)、請求者の属性(建築主、周辺住民等)、処分の主体(特定行政庁、建築主事、民間確認機関)、裁決結果(却下、棄却、認容等))、執行体制についてのデータ(委員構成、審査会開催回数等)についてのデータを整理した。 また米国を中心に欧米における土地利用規制の許可制度とその運用実態の概要について情報を入手整理した。特に米国については、ニューヨーク市の計画委員会とゾーニングボードについての役割分担に留意しつつ、ゾーニングボードにおける審査実態についての情報を入手整理した。
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