本年度は、研究の初年度として、方式(1):二眼カメラによる計測、方式(2):4点標識を用いた計測、方式(3):特長点を用いた計測、についてその特徴を検討した。その結果、以下の特徴があることが分かった。方式(1)については、二眼レンズの間隔を大きく取り精度を上げるためにはカメラが大型になるため、建築現場等における計測には支障があり、一般的な普及が難しい。方式(2)は、通常のデジタルカメラを使用するため有用であるが、2枚の写真に同じ位置で配置した4点標識を映しこむ必要がある点が計測時の障害となる。方式(3)については、通常のデジタルカメラを使用するため有用であるが、4点標識を用いる場合に比べてよい多くの枚数の写真を撮影する必要があり、またその解析システムがより複雑となる。との結論を得た。 以上を踏まえて、方式(1)と方式(2)について、計測実験を行った。 方式(1)では鉄筋部材を計測して、その鉄筋間隔を計測した。この結果、計測精度は概ね±1mmで計測し得、同時に行った手計測の結果と大きく異なることはなかった。しかし、4点標識を2枚の写真に写し込むために、計測する箇所に合わせて写真を撮影する必要があり、写真の解析時に正確に計測し得ない箇所も発生した。 方式(2)では、室内の壁、天井、床、及び設備機器の位置、寸法の計測を行った。方式(2)においては、計測した設備機器等の寸法の精度は、トータルステーションの計測結果と比較して±1mm程度であった。また、方式(2)においては、3次元CADシステムと連動し得る解析ソフトを用いたため、計測した室内の3次元モデルを容易に作成することが可能となり、建築物の各部部材の配置や寸法を計測してその出来形モデルを3次元情報として、正確に記録し得ることが判った。
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