研究概要 |
本調査研究は、ベトナム中部山岳少数民族カトゥ族、及びその隣接地域に居住するバナ族の伝統木造建築に見られる独自の身体尺(建設モジュールシステム)に関する比較調査研究である。平成22年9月、平成23年3月、8月に実施したフエ省ナムドン県ソンロー社、ソンクァン社におけるカトゥ族住民へのインタービュー調査では、既報の論文(小林広英,飯塚明子:ベトナム中部山岳少数民族・カトゥ族の伝統建築再現にみる在来技術-フエ省ホンハ社の伝統的集会施設を事例として-,日本建築学会計画系論文集,NO.653,pp.1679-1686,2010年7月)でまとめた事例と同様の寸法体系を確認し、また集落に現存する伝統木造建築を対象として寸法計画時に用いる身体尺の適用方法について把握した。この調査結果により、カトゥ族がもつ身体尺の寸法体系を比定することができた。本成果は、日本建築学会計画系論文集(No.678,2012年8月)に掲載予定である。一方、バナ族の伝統建築に関するフィールド調査では、平成23年12月にベトナム中部高原に位置するコントゥム省コントゥム市周辺のバナ族および類似文化をもつセダン族の集落を広域踏査した後、平成24年3月に入村調査許可の得られたダックト県ゴックトゥ社ダックチョ村にて身体尺に関するインタビュー調査を実施、カトゥ族がもつ身体尺と類似の体系を有することを確認した。
|