無機成分が、動物、植物、微生物などの生物体内において、集積・沈着し、無機固体化して蓄積することは、バイオミネラリゼーションとして知られるが本研究では、植物、特にクワ科を用いたバイオミネラリゼーション挙動に注目して研究を進めた。本研究課題では、クワ科植物を用いて、クワの根からアポプラスト転流したCaイオンが細胞内に取り込まれることなく、直接的に細胞外(cell wall sac : CWS)で不溶化し、さらに蓄積する機能を利用して、種々の条件下にて、クワの葉内部に生成するCaCO_3ナノパーティクルを回収し、それら回収されたCaCO_3の構造解析を進めた。具体的に、種々の条件下にて水耕栽培により栽培し育成したクワ葉を回収した。それらを用いて、クワの葉に存在するcell wall sac内にCaイオンが蓄積し、バイオミネラリゼーション化した無機固体を分離し、さらに回収することで得た試料を用いて、構造評価を行った。 クワ科を用いたバイオミネラリゼーション手法は、常温、常圧下での環境低負荷なプロセスでかつCO2固定技術でもあり、植物プロセスを利用したナノ材料創製として有効性を見出した。
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