本研究では植物プロセスを利用したナノ材料創製とその環境浄化への展開を目標とした基礎研究を行った。クワ類の水耕栽培事例は極めて少ないので、果樹などで開発された水耕培養組成を基に、発芽苗から若木になるまで水耕栽培を利用して栽培できることを確認し、試料を回収できた。実用的な水耕栽培技術の確立によりクワ栽培を目指し、実用的な観点を考慮し、これまでの土壌を利用した重金属耐性植物に関する研究と異なり、水耕栽培したクワ若木を用いる実験を進め、その確立を進めた。水耕栽培を利用してクワ葉に存在するcell wall sac内にCaが蓄積した無機固体を分離・回収し、その構造解析をX線回折(XRD)、FT-IR、X線光電子分光(XPS)、X線吸収微細構造(XAFS)にて進めた。その結果、X線吸収微細構造(XAFS)解析から、カルシウム化合物の微細構造が解明できた。次いで、各種試料について、より詳細な構造評価を走査型電子顕微鏡(SEM)並びに透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、知見を得ることから、ファイトレメディエーション(phytoremediation)への可能性を明らかにした。
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