相異なる二つの特性を共存させ、一つの働きを付与する新しい材料設計指針である「Zwitter」バイオミメティック材料という分野の構築を目指す。本研究では、超はっ水/超親水、電解質/非電解質ガラス多孔体の作製を目指す。このような材料を作製することによって、燃料電池電極で問題になる、水、水蒸気、気液二相の流れ制御層としての機能も発揮する。 本年度はマイクロガラス多孔体の細孔内の表面処理を行う方法について検討した。マイクロガラス多孔体の細孔内部を修飾するためには、反応に奇与する活性種を細孔深部にまで到達させる必要がある。本研究では表面処理を行う方法として、ソリューションプラズマ処理を用いた。ソリューションプラズマは液中のプラズマ反応場であり、活性種として水素ラジカル等が発生する。本研究では、この水素ラジカルによって、マイクロガラス多孔体内に残存する有機物を分解除去することに成功した。水素ラジカルは、最も小さな分子であり、またソリューションプラズマから継続的に供給されることによって、マイクロガラス多孔体の細孔内部にまで表面処理が行われたと考えられる。このような表面処理によって、マイクロガラス多孔体の細孔内部にシラノール基が付与され、親水性が向上していることが期待された。またゼータ電位の値も処理前と比較して大きく負にシフトした。シラノール基が多数形成されたことから、その後のシランカップリング処理等においても効率的に反応させることができると期待される。
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