研究課題/領域番号 |
22656181
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
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研究分担者 |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 教授 (60231271)
蘆田 隆一 京都大学, 工学研究科, 助教 (80402965)
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キーワード | ナノカーボン / イオン交換樹脂 / 金属ナノ粒子 / カーボンナノスフィア / 高表面積 / 迅速昇温 |
研究概要 |
カーボンナノチューブなどのナノ構造炭素は、炭素電極のアーク放電や炭化水素ガスのCVD等の気相反応プロセスで合成されている例が多いが、本研究では、固体であるイオン交換樹脂を原料とし、触媒金属をイオン交換で高濃度・高分散担持させてから熱処理することによって新規なナノ構造炭素を合成することを目指している。昨年度は、イオン交換樹脂に種々の金属イオンをイオン交換担持した後、迅速熱分解することにより中空球状のナノ構造を有する炭素材料、カーボンナノスフィアの製造に成功し、原料樹脂種や交換する金属カチオン種によって、単位構造のサイズや形状の異なるカーボンナノスフィアが得られることを明らかにした。本年度は、本法により得られるカーボンナノスフィアの収率、特性に与える原料イオン交換樹脂の官能基種や架橋度、担持するカチオン種の影響を検討するとともに,応用例として電気二重層キャパシタ電極への適用の可能性を検討した。Ni2+を担持した弱酸性陽イオン交換樹脂から得られるカーボンナノスフィアの炭素収率は、わずか4%であったのに対して、金属を担持した強酸性陽イオン交換樹脂から得られるカーボンナノスフィアの炭素収率は40%にも上った。また、架橋度が高い樹脂を原料とすることにより、構造や特性にほぼ影響を与えず炭素収率を改善できることが分かった。カーボンナノスフィアから作製した電気二重層キャパシタ電極の静電容量を調べたところ、低電流領域では静電容量は小さいが、高電流領域では活性炭等を使用した電極よりも静電容量が大きく、高速充放電特性に優れていることが明らかになった。表面積は活性炭のほうが大きいが、活性炭は細孔が主にミクロ孔であり、高速なイオン拡散に必要なメソ孔がほとんどないのに対して、カーボンナノスフィアはミクロ孔だけでなく、メソ孔も存在するという特徴を有しているため高速充放電特性に優れていると考えられた。
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