研究課題/領域番号 |
22656192
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
塩谷 捨明 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (50026259)
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研究分担者 |
山本 進二郎 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (40262307)
林 修平 崇城大学, 生物生命学部, 助教 (30389522)
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キーワード | オンサイト形質転換 / タバコ / 導管ネットワーク / 成長点 |
研究概要 |
形質転換した植物体を作成する従来の方法においては、細胞レベルで遺伝子導入して目的の細胞を選択した後、植物体にまで成長させるというステップを必要とするため、目的の植物体を得るには多大な時間と労力を必要とする。本研究では、有用遺伝子を植物体に直接導入して迅速に形質転換体を作成する可能性を検討している。植物体の細胞に遺伝子を運ぶ手段として、根で吸収された水分や栄養成分が植物全体に行き渡る導管ネットワークを考えているが、導管内での物質輸送についてはどのような分子が輸送可能かわかっていないので、本年度では、導管ネットワークにおける物質の輸送の可能性を検討した。モデル植物としてタバコの植物体を利用した。物質の輸送に及ぼす分子量の大きさを調べるため、分子量の小さい物質として食紅(MW=635.5)と大きな物質としてグルコースオキシダーゼ(MW=約15万)を用いて検討した。成長したタバコから切り出した葉や茎をこれらの物質を含む溶液に所定時間浸漬し、葉柄から葉の先端や茎から成長点への物質輸送を実験的に調べた。またレポーター遺伝子としてβ-グルクロニダーゼ(GUS)を持つプラスミドを含む培地にタバコの葉を所定時間浸漬し、葉の先端や成長点などへのプラスミドの移動や導入を調べた。輸送された物質の分析は目視や分光光度計で行った。プラスミドの検出はPCRで、遺伝子導入はGUS活性の測定から検討した。その結果、分子量の大きさによらずこれらの物質が葉柄または茎から葉の先端や成長点に速やかに輸送されることを見出した。さらにレポーター遺伝子のGUSを有するプラスミドに関しても同様な結果が得られ、導管ネットワークによって茎から葉、さらには細胞分裂が活発な成長点へもプラスミドが輸送されることを見出した。
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