研究概要 |
本研究では,圧電素子を内蔵したCFRP構造について,圧電素子のアクチュエータ・センサ機能を利用して疲労・衝撃損傷を自動的・実時間で検知する構造ヘルスモニタリング法を開発するとともに,圧電素子の発電機能を利用して得られる電気エネルギーをアクチュエータ・センサネットワーク駆動,および,無線送信に供給する無電源構造ヘルスモニタリングシステムを構築することを目的とする.本年度得られた主要な成果は以下の通りである. 1.圧電素子で発生させた弾性波を用いてFWタンクの切欠き位置の同定を行う手法を提案した.本手法により,アルミライナー・CFRP・GFRPの積層構造からなる複雑な構造であるFWタンクの切欠き位置・切欠き長さ・切欠き方向を高精度に検知することが可能となった.また,FWタンクの各位置での弾性波伝播速度を計測して積層構成・肉厚により伝播速度が大きく変化することを明らかにし,この伝播速度分布を考慮した切欠き位置の同定手法を確立した. 2.構造物の振動エネルギーを利用した圧電素子によるエネルギーハーベスティング(発電)特性を調べてその特性を解明するとともに,発電エネルギーの最大化を行った.さらに,このエネルギーハーベスティングを利用した準能動的振動制御手法を提案し,CFRPはり・CFRP板・アルミ板について,フィルタリング法あるいは閾値法による準能動的振動制御を行った.特に,閾値法を用いることにより,少数の圧電アクチュエータによる多モード準能動的振動制御を効果的に行えることを明らかにした.
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