研究課題
1~20Wの低パワ連続(CW)レーザー光を固体ターゲット(推進剤)に定常的に照射しながら推力を得る、100μNクラス小型レーザー推進機の実験研究を実施した。本研究では、過去に数多く研究されてきたレーザーアブレーションスラスタ(金属などの固体ターゲットに短時間パルスレーザーを照射してジェットを生成するタイプ)とは異なり、定常レーザーを箔状の固体ターゲットに照射してジェットを得る、新しいタイプの推進機の特性を明らかにした。平成23年度は、前年度構築した小型レーザースラスタ試験システムを用いて、小型レーザースラスタの推力特性を計測し、また、推力発生メカニズムの解明を行った。小型レーザースラスタは、レーザーパワにほぼ線形に比例した推力特性(約1μN/W)を示し、その推力は試験を実施した真空チャンバ内の真空度にも依存する事が判明した。本レーザースラスタによる推力発生メカニズムとしては、当初は推進剤ターゲット表面に高強度レーザーが導入されることによってターゲット材が蒸発することを想定していたが、ターゲットからの固体粒子の放出は観測されなかった。スラスタ動作時(レーザー照射時)のプラズマ観測も実施したが、プラズマの存在は確認できなかった。その一方、レーザー固体推進剤ターゲットを熱的に絶縁して配置した際に最も大きな値を示した事から、レーザー光入射時に固体ターゲットの温度が上昇し、ターゲット周囲の低圧力ガスをまきこむことで希薄域のジェットが生成されて推力が発生すると結論づけた。
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