研究最終年度となる平成23年度は、「ロボット観測船」については、平成22年度に開発した「ロボット観測船」のテストベットに障害物回避システムを実装して水槽試験を行い、ロボット機能と障害物回避のためのアルゴリズムの機能検証を行い、機能を向上させた。さらに、東北の大槌湾内や東京大学三崎臨海実験所で実海域試験を行いその性能を検証し、成果をフィードバックさせてシステムの機能を向上させた。具体的には、1)平成22年度に開発した全方位カメラ(360°)およびレーザーを用いた画像とレーザーによる衝突回避システムのロボット艇体への搭載、2)ソーナーを用いた新たな障害物回避システムを開発してロボット艇体へ搭載、3)艇体全体のバランスと機動力について水槽試験による検証、4)GPSと電子コンパスを搭載して位置制御しながら安全な航路を認識して自動航行できる自動制御システムの開発、5)PCを用いてロボットの自動制御を行うシステムの開発を進めた。そして、ソーナーを用いた障害物回避システムを自動制御システムに組み込み統合することで、ロボット観測船のための自動障害物回避機能を伴う自動航行システムを開発し、システムをテストベットロボットに移植。水槽試験および実海域試験によりその機能の有効性を示した。また、イルカ観測システムについては、「ロボット観測船」に組み込み可能な小型ハイドロフォンアレイシステムによるイルカのクリックと方位のリアルタイム自動検出ソフトウエアを開発し、インドのガンジス河およびチリカ湖においてボートから吊り降ろし3ノット程度のスピードで流域計測を実施した。複数のイルカの軌跡を含む時系列データを取得、イルカのセンサスに有効性を示した。ロボット観測船のテストベット開発と観測船に搭載可能なイルカのセンサス用小型ハイドロフォンアレイ開発により、河川に棲息するイルカ類の自動観測への基礎を拓いた。
|