研究課題/領域番号 |
22656200
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡村 秀雄 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (90253020)
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研究分担者 |
段 智久 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 准教授 (80314516)
藤田 浩嗣 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 教授 (60199338)
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キーワード | 有機溶媒可溶画分 / 多環芳香族炭化水素 / 水可溶画分 / 硫酸イオン / ジャトロファ / ジメチルエーテル / 変異原性 / 生態毒性 |
研究概要 |
次世代燃料を用いた船舶ディーゼルエンジンからの排ガスの粒子状物質(SDEP)が海洋生態系に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。異なる燃料からのSDEPの水不溶性画分(有機溶媒可溶画分:SOF)に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)およびニトロ PAH(NPAH)、および水溶性画分に含まれるイオン性物質を定量するとともに、SOFの変異原性を評価した。 1.SDEP試料:4種類の供試燃料油(1)ジャトロファ油、(2)ジャトロファ油に水をエマルジョン添加した燃料、(3)C重油、(4)C重油にジメチルエーテル(DME)を添加した燃料を用い、エンジン負荷率を4段階として排ガスを発生させ、3回の繰返し実験によりフィルター上にSDEP試料を得た。1枚のフィルターを4等分し、1/4枚を有機溶媒抽出してHPLCにより3分画してSOF試料とし、PAH,NPAHを測定し、変異原性を評価した。また1/4枚を水抽出してイオン性物質を測定した。PM排出量を燃料ごとに比較すると(1)より(2)の方が低く、(3)より(4)の方が低く、所期の予想通りだった。 2.SDEPに吸着する有機溶媒可溶成分:ジャトロファ油および水エマルジョン燃料からのSOF試料には、NPAHとしては1ニトロピレンのみが検出された。ジャトロファ油および水エマルジョン燃料からの水抽出試料には、濃度が高い順に、亜硝酸イオン>硝酸イオン>硫酸イオンが検出された。 3.SOFの変異原性評価:HPLCで3分画したSOF試料について、ウムラックATにより評価した。ジャトロファ油および水エマルジョン燃料では、いずれの画分にも変異原性は認められなかった。これに対して、C重油およびDME添加C重油では、C重油からの画分2と3に直接変異原性および間接変異原性が認められたので、NPAHとの関連性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実機エンジンを用いてのSDEP試料の調製が予定よりもやや遅れたので、化学分析および生物評価が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けて、早めにSDEP試料を採取、調製し、化学分析および生物評価に取り組むこととする。 また、分析用のフィルターが室内大気によって汚染されていた可能性が高かったので、フィルターを使用直前まで厳密に個別包装するなどの対策をとり、十分に注意して分析、解析する。
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