金属ガリウム中に20から30nmのFeNbVB強磁性粒子をシリカを被覆して約3%分散させたゲル状金属ガリウム流体を製造した。この金属流体へ磁界の印加の有無によるトルクと角速度の関係を円錐平板型粘度計および共軸二重円筒型にて測定し以下の事項が明らかとなった。 円錐平板型粘度計では、円錐平板と垂直に磁界の無印加と最大磁束密度0.09 Tを印加した場合、磁界を作用させた方が低角速度ではトルクが大きく、角速度が4rad/s以上では磁界の影響はほとんど現れなくなった。磁界の印加の有無にかかわらず、角速度が上昇するとトルクが減少する傾向が観察された。 共軸二重円筒型では、回転軸と平行に最大磁束密度0.09 Tを印加した場合、低回転数では若干、磁界印加したほうがトルクは大きいが、速度の上昇とともに検出されるトルクの差は減少した。円錐平板の結果と同様に回転速度が大きくなるに従って角速度が上昇するとトルクが減少する傾向が観察された。高回転になるとガリウム流体と接触する粘度計のステンレス(SUS304)板との間に隙間が生じるからと考えられる。 電磁石中で0.55Tの磁束密度を作用させ、金属流体を重力に逆らって移動させることができた。磁界中での流体の粘度変化が少ないので、応用として磁界の印加でオンとオフで移動できるスイッチへの応用が考えられる。
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