研究概要 |
これまでに、イミノジ酢酸キレート固相に吸着した30種類以上の金属から、ペルオキソ系試薬を通液することで、V,Mo,W,Nb,Taの5元素を選択的に抽出できることを明らかにした。また、金属回収法の1種で、共同沈殿法に着目し、そこに非毒劇系試薬を通液した際の金属溶離挙動の解析を行っている。現在までに、タングステン、モリブデンなどが選択的に溶離することを確認している。さらに、イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂に対象金属イオン(タングステン・モリブデン・バナジウム)を吸着させた後、非強酸かつ非毒劇系溶媒の一種(X)を通液したところ、モリブデンとタングステンがどもに溶出した。この際バナジウムはほとんど溶出しないことが明らかとなった。この結果は、先述した過酸化水素通液の場合(V,Mo,Wが溶出する)結果とは異なるものである。このことから、このX溶液を使用することで、Mo,WとVを分離可能であり、X溶液に続いて過酸化水素を通液すれば、バナジウムのみを回収出来ることを意味する重要な成果といえる。当初掲げた目標には十分達成できたものと考えている。また、現在、Xの濃度を変化させながらMoとWの分別回収を行っている。その結果、Xの希薄溶液(1%)通液後、10%のXを通液することでMoとWが分別できることを明らかにした。 実用化の見通しとしては、現在のところ、廃棄物から資源回収への適用を考えている。その際には、モリブデン・バナジウムなどを多く含む廃触媒・焼却飛灰に含まれる有用成分(モリブデン、バナジウム、タングステン)の回収・資源化への寄与が期待される。
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