研究課題/領域番号 |
22656208
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 靖 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30214191)
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キーワード | プラズモイド / ダイバータ / ダブレット / 磁気リコネクション / トカマク / ガスパフ / センターソレノイドコイル / 電流駆動 |
研究概要 |
本年度はTS-4球状トカマク装置を用いてプラズモイドの人為的生成とダイバータコイルへの連結という一連の動的ダイバータ動作に成功した。(A)6個の内部コイルで平衡磁場を形成し、(B)センターソレノイドコイル(CS)の磁束注入によって、主トカマクプラズマ(大半径0.5m、アスペクト比1.5)の端にプラズモイドを安定的に成長させ、成長後、さらにダイバータコイル領域に移送し、連結させた。プラズモイド放出はCSコイルの磁束注入率で人為的に制御できることが明らかになり、これは太陽のプラズモイド放出現象(フレア)のトリガー機構の検証にもなった。さらに、多数のプラズモイドが間欠的に生成される条件、放出を制御する条件が明らかになりつつある。一方、2次元軸対称MHDシミュレーションによる動的ダイバータ運転の検証も進展し、主トカマクプラズマからの複数のプラズモイド放出とダイバータコイルとの連結をシミュレートできるようになった。その成果は米国物理学会講演の他、電気学会論文に掲載され、今後、シミュレーションによる予測制御を加えて完成度の高いプラズモイドの成長と間欠的放出を制御する準備が整った。さらに核融合科学研究所の協力もあり、シミュレーション精度向上と粒子排出を見積もるための粒子シミュレーションも開始している。実験的なプラズモイド制御手段として(A)(B)に加えて(C)1MWにパワーアップしたNBIを導入し、1レーザ干渉計のチャンネル数を増やして密度計測が充実した点も本年度の成果といえる。(a)プラズモイドサイズ、(b)放出間隔、(c)放出粒子数を制御し、炉心プラズマとダイバータの熱絶縁を高めつつ、プラズモイドで粒子放出をやりとりする動作を評価、最適化する環境が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験とMHD計算機シミュレーションの双方で一連のダイバータ動作を検証することに成功し、計画は順調に進んでいる。さらに研究開始後、計算機シミュレーションと中性粒子ビーム増強の双方で新たな協力が得られ、シミュレーションは、1)高精度MHDシミュレーションおよび2)粒子シミュレーションにアップグレードし、中性粒子ビームパワーも当初予定の60%増加が可能となったことから、ダイバータ動作の制御手段に大きな幅ができ、シミュレーションの知見を予測制御として生かすことが可能となるなど計画以上の進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
プラズモイド生成・放出の制御手段として、10個の内部コイル電流の制御、センターソレノイドコイルの磁束注入、パワーアップしたNBIの3手法を効率よく開発し、さらにレーザ干渉計のチャンネル数を増やして密度計測が充実したので、これらの蓄積を生かして、動的ダイバータ動作にとって大切な(a)プラズモイドサイズ、(b)放出間隔、(c)放出粒子数を制御する手法を確立したい。どれだけ炉心プラズマとダイバータの熱絶縁を高められるかを計測しつつ、プラズモイドで粒子放出をやりとりする動作を評価、最適化したい。
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