研究概要 |
本研究は核燃焼プラズマ中のDT反応で発生した3.5MeVアルファ粒子の閉じ込め物理に関する研究を行うことを目的とし,今までに無い新しい高エネルギー粒子検出手法(損失アルファ粒子誘起ガンマ線スペクトロスコピー)を提案した.核融合炉の第一壁へ損失してくる高エネルギーアルファ(損失アルファ)粒子とベリリウム第一壁との衝突反応^9Be(^4α,nγ)^<12>Cにより誘起された4.44MeVγ線の検出がその基本原理である.観測されたγ線から元の損失アルファ粒子の振る舞いを理解することが可能になる.γ線検出器は真空容器壁から離れた場所に設置することも可能となり,アルファ粒子を直接シンチレータで検出する従来の損失アルファ粒子検出器の課題であった,検出器の設置場所の確保や耐熱・耐放射線性を解決することができるようになることが期待できる.(a)その新しい原理にもとづく計測器開発と(b)耐熱・耐放射線コンポーネントの開発に絞り研究を進めた. 上記(a)に関して,シンチレータと光電子増倍管を用いたガンマ線波高分析システムを構築した.線源を用いたMeVガンマ線検出実験を行い,ガンマ線が検出可能であることを確認した.次年度に行う加速器ビームを用いたガンマ線模擬実験の準備を行った. (b)に関して,原子炉JRR-3とBR-2において放射線照射した光学材料の候補となる数種類の石英系材料について,透過率と反射率測定を精度よく行うため,既存の分光光度計の改造を行った.透過率に関して数%の範囲で再現良く計測できるようになった.次年度に向けレンズ・ミラー材料となる石英等の試料に関して,透過率・反射率計測を系統的に行うことが可能となった. その他,燃焼プラズマ計測に関する情報収集と関連計測についても研究を進めた.
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