研究課題
将来の大規模エネルギー源として高温ガス炉は、発電用だけではなく900℃高温熱を供給する原子炉で水の還元反応で水素製造に期待されている。ヨウ素と硫黄を触媒にするI-Sサイクル基本技術はすでにJAEAにより開発され、残された課題は水素製造効率と経済性を格段に増加させる方策である。本研究では、I-Sサイクル温度領域で作動する高温ヒートポンプを利用し、高温から低温への熱利用状態に応じて、吸熱反応熱をエンタルピーに変化させ、水素発生に導くものである。実験ではZrV_<2-x>Fe_x合金を使い、H_2SO_4熱分解反応温度の900℃とHI熱分解反応温度の400℃に応じた条件でヒートポンプ作用を施し、実際に当初400℃に維持されたZr-V-Fe合金充填層に水素を吸蔵させ、塔全体を200℃程度増熱させることに成功し、さらに生じた水素を吸着剤に一時貯蔵する事ができた.これは低温熱をより質の高い高温熱に増熱することに相当する。実験結果は、合金内の水素吸収反応、粒子内熱伝導、ガスの対流を考慮に入れた解析結果と比較し、システム全体の温度変化、水素圧力変化の実験値とよく一致し、実際のヒートポンプサイクルの設計に有用な結果にまとめられた。成果の一部は、論文等に報告され、OECDから"Nuclear Production of hydrogen"の本の一部としても掲載された。本研究の初年度で当初予想した成果を超えた成果が得られたが、研究の2年目には、固体粒子充填方式を変え、熱の伝わりをさらに増進させるため、溶融塩あるいは共融合金に水素吸蔵合金粒子を研諾させた系で実験を行う予定であり、現在実験準備をおこなっている。
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http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001210/index.html