研究課題/領域番号 |
22656214
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
関口 秀俊 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50226643)
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キーワード | バイオディーゼル / 超音波照射 / 固体触媒 / 混合 / 放電 / 反応機構 |
研究概要 |
この研究では、非食用植物油のエステル交換反応によるバイオディーゼル燃料製造プロセスにおいて液中放電と超音波場を相乗させるという全く新しい反応場を導入し、高速・高効率で廃棄物の少ないバイオディーゼル製造プロセスの開発を試みるものである。23年度は、22年度に促進効果の見られた固体触媒添加下での超音波照射によるエステル交換反応の機構解明を中心に行った。この際、固体触媒には、固体アルカリ触媒だけでなく固体酸触媒も利用した。またLewis酸塩基、Bronsted酸塩基の違いが与える影響についても検討した。実験の結果、粒径の大きいイオン交換樹脂を除き、全ての触媒で超音波照射の促進効果が観察された。また、収率が0.2を越えると撹拌実験でも反応速度が大きくなった。反応前後の溶液を顕微鏡観察した結果、超音波を用いた実験では、トリオレイン相中のメタノール液滴径は反応初期から非常に小さかった。一方、撹拌実験では超音波を使用した場合に比べて、液滴径は、はるかに大きかったが、120分後に急激に小さくなり、この時間は、撹拌実験でも反応速度が上昇する点であった。これらの結果から、メタノール液滴の表面積がバイオディーゼル合成の反応速度に大きな影響を与えることが明らかとなった。また、イオン交換樹脂において速度が遅かった原因は、樹脂の径が液滴径に比べて大きすぎるためであると推測された。解明された超音波の反応促進機構から、電極を超音波実験装置に導入する際には、メタノール液滴径が細かい状態で放電させること、さらに速度が比較的遅い反応初期において効果が上がることが考えられ、これを念頭に、引き続き液中放電と超音波場の相乗効果を検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放電を導入した反応に促進効果が余り見られていないため、まずは超音波の促進効果の機構解明を行った上で放電を導入するアプローチに変更したため、計画よりやや遅れているが、機構が解明されたこともあり、今後は最終年度に向け精力的に研究を推進していく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は23年度に得られた超音波照射の反応促進機構を念頭に、超音波照射した反応初期の液滴径の小さい条件において、放電との相乗効果を調べる。昨年度同様、植物油にはトリオレイン、触媒には反応速度の速かった酸化カルシウムと酸化ストロンチウムを用い、バッチ反応器でメタノールとエステル交換反応を行う。そして放電や電場の有無による反応促進効果を検証する。
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