研究課題
真核細胞には核以外にもゲノムを持ったオルガネラが存在する。ミトコンドリアと葉緑体である。これらのオルガネラのゲノムは核と異なり細菌とよく似た遺伝子発現機構で制御されている。生物は様々な環境変化に適応するために核やオルガネラゲノムの遺伝子発現をダイナミックに変化させることで細胞全体の調和をとっている。本研究では異なる波長で発光するルシフェラーゼレポーターを用いて核・葉緑体・ミトコンドリアの遺伝子発現を同時にリアルタイム測定できる世界で初めての実験系の確立を目指す。遺伝子発現のリアルタイムレポーターには大きく分けてGFP等の蛍光タンパク質とルシフェラーゼ等の発光タンパク質がある。クラミドモナスは光合成生物であるため葉緑体の自家蛍光が強く、蛍光タンパク質は不向きである。それに対し、ルシフェラーゼレポーターは励起光が不要であるため自家蛍光に影響されず、さらに定量性において極めて優れており、ダイナミックな量的変化を検出しようとする本研究に適している。申請者はすでにクラミドモナスの葉緑体ゲノムに緑色に発光するホタルルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ株(葉緑体レポーター株)を作製し、葉緑体の遺伝子発現モニタリングに成功している(Matsuoet al.,2006,Mol cell Biol)。今年度は青色に発光するバクテリアルシフェラーゼの利用を試みた。バクテリアルシフェラーゼはLuxA、LuxBの2つのサブユニットかち成る。本研究ではレポーターとして利用しやすいようにLuxAとLuxBをGSリンカーで連結した融合タンパク質としてデザインした。さらにクラミドモナスにおける発現を増強するため、コドン最適化を施したcrLuxAB遺伝子を人工合成した。大腸菌でこの融合タンパク質を発現させ発光能を保持していることを確認した。その後、クラミドモナスの時計遺伝子の制御下で発現させたが、クラミドモナス細胞においては有意な発光は確認できなかった。
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