研究課題
オオカナダモに紅葉を誘導する化合物につき、3種類がオオカナダモに存在していることを明らかにし、そのうちの2種類の化合物については、昨年度までに抽出・精製し、機器分析により、その構造決定を行なった。本年度においては、その化合物2つにつき、有機化学的な合成を行なった。2つの化合物ともに配糖化されており、そのアグリコンについては大量合成できたが、配糖化体については数mg程度を得ることができた。これら有機化学的に合成した配糖化体をオオカナダモ葉に投与したところ、オオカナダモから抽出・精製した天然化合物と同様の濃度で紅葉を誘導することがわかり、これら2つの化合物が紅葉誘導因子であることを決めることができた。また糖による修飾がなされていないアグリコンにおいても、ほぼ同様な紅葉誘導活性があることがわかった。残り1種類の化合物について、オオカナダモにおけるその含量が少なく、昨年度の時点で0.3mg程度しか得られず、質量分析は出来たが、核磁気共鳴による構造決定に至っていなかった。そこで、オオカナダモの大量培養をさらに5倍程度にスケールアップし、中圧クロマトグラフィーおよび各種高速液体クロマトグラフィーを用いて精製を行ない、約2mgを得ることに成功した。しかし、1Hおよび13C核磁気共鳴によってその化学構造を決定しようと試みたが、分子間共鳴が少なく、構造決定には至らなかった。また、これら3種の化合物について、アラビドプシスのロゼッタ葉に強光を当てることによって、アントシアニン合成を誘導できる系に対し、ここで得られた化合物をロゼッタ葉に対して噴霧する、もしくは切断した葉から吸収させることによって、紅葉が誘導されるか調べたが、紅葉誘導は見られなかった。
すべて 2011
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