研究課題
ゼニゴケの標準系統とした京都で採取したアクセッションTakaragaike-1系統(Tak-1)は雄株である。同じ場所で採取した雌株Tak-2との間では塩基配列の多型が存在する。戻し交雑を繰り返し、常染色体がTak-1に置換された系統を樹立した。胞子を用いた解析で生じていた遺伝的不均一性を解決した。マッピングのための対照系統として扱っているアクセッションKitashirakawa-2(Kit-2)からゲノムDNAを調製し,次世代シーケンサーによりゲノム情報を得た(科学研究費新学術領域研究生命科学系3分野支援活動ゲノム支援を受けた)。この情報を利用して高密度遺伝地図作成を試みている。T-DNA導入系統約1万株から形態を指標に25系統を選抜した。これらは杯状体、無性芽発生、気室形成、葉状体形態などに異常をもつ。T-DNA挿入数や挿入位置及び導入位置の遺伝子発現を解析した。具体例として気室が形成されない突然変異体からタグ近傍の遺伝子を単離し、対応する野生型遺伝子の導入による相補性検定によって原因遺伝子を明らかにした。順遺伝学的な手法で遺伝子同定や機能解析が容易に行えることが実証された。分子遺伝学・細胞生物学実験ツールの充実を目指した。ゼニゴケの形質転換に新たに3種の薬剤選抜マーカーが利用できることを見いだし、プロモーターやタンパク質機能を解析するための様々なタイプのベクターの開発を進めた。また、従来の形質転換は発芽した胞子を材料としきたが、新たに光照射による再分化葉状体切片を用いる方法を確立した。これによって突然変異体の相補実験や特定系統への多重遺伝子導入が容易になった。
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Biochem.J
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