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2011 年度 実績報告書

脳内メラノプシンによる行動制御

研究課題

研究課題/領域番号 22657023
研究機関甲南大学

研究代表者

日下部 岳広  甲南大学, 理工学部, 教授 (40280862)

キーワード脳・神経 / オプシン / 光受容 / ホヤ / メダカ
研究概要

研究代表者らは発生遺伝学的な操作により眼点視細胞を完全に欠いたホヤ幼生が、光に応答した運動を示すことをみいだした。この視細胞をもたない幼生の脳には、メラノプシン型のオプシン遺伝子が発現している。本研究では、メラノプシンが視細胞欠損幼生の光応答を担っているという作業仮説に基づいて、この光応答の発現機構の解明に取り組んでいる。2011年度は次の成果を得た。
ホヤ・メラノプシン遺伝子(Ci-opsin4)の発現調節領域を単離し、蛍光レポーターに連結した融合遺伝子を組込んだプラスミドを構築した。このプラスミドをホヤ胚に導入し、メラノプシンを発現する細胞を解析した。Ci-opsin4を発現する細胞は、脳胞後部と尾部後方の背側にみられ、いずれもその形態からニューロンと考えられた。otxをノックダウンしたホヤ幼生(otxモルファント)は、眼点視細胞をもたないが、光刺激に対する反応を示す。ci-opsin4を発現する細胞は、その位置から、いずれもotxモルファントに存在すると考えられた。otxモルファントの光応答にCi-opsin4が関わる可能性を、遺伝子ノックダウン実験により検証した。Ci-opsin4を単独でノックダウンしたホヤ幼生は、光には応答するが、再び暗条件に戻したときの急激な運動抑制がみられなくなった。otxとの二重ノックダウンを行ったところ、otxモルファントの光応答が消失した。以上の結果から、ホヤ・メラノプシンはotxモルファントの光応答を担う光受容体であることが示唆された。
また、新たに3つのオプシン遺伝子がホヤ幼生の眼点以外の部位で発現することを明らかにした。さらに、本現象の普遍性を検証するために、メダカのメラノプシン遺伝子を複数同定し、すくなくとも1つは脳の特定の部位で発現することを見出した.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Cell lineage and cis-regulation for a unique GABAergic/glycinergic neuron type in the larval nerve cord of the ascidian Ciona intestinalis2012

    • 著者名/発表者名
      Koki Nishitsuji, Takeo Horie, Aoi Ichinose, Yasunori Sasakura, Hitoyoshi Yasuo, and Takehiro G. Kusakabe
    • 雑誌名

      Dev. Growth Differ

      巻: 54(2) ページ: 177-186

    • DOI

      doi:10.1111/j.1440-169X.2011.01319.x

    • 査読あり
  • [学会発表] Transcriptional regulation underlying the differentiation of glutamatergic neurons in the Ciona inteatinalis larva2011

    • 著者名/発表者名
      Aoi Ichinose
    • 学会等名
      International Symposium Genetic Eegulation of Development
    • 発表場所
      京都ガーデンパレス
    • 年月日
      20111130-20111201
  • [学会発表] Regulation and specification mechanisms of glutamatergic neurons during development of the larval nervous system of the ascidian Ciona intestinalis2011

    • 著者名/発表者名
      Koki Nishitsuji
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-13
  • [学会発表] ホヤ幼生のGABA/グリシン作動性神経細胞の細胞系譜と細胞特異的転写制御機構の解析2011

    • 著者名/発表者名
      西辻光希
    • 学会等名
      日本動物学会第82回大会
    • 発表場所
      旭川市大雪アリーナ
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] カタユウレイボヤ幼生の眼外光受容細胞2011

    • 著者名/発表者名
      日下部岳広
    • 学会等名
      日本動物学会第82回大会
    • 発表場所
      旭川市大雪アリーナ
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] ホヤ幼生のGABA/グリシン作動性神経細胞形成における転写因子SoxB1の役割2011

    • 著者名/発表者名
      一瀬葵
    • 学会等名
      日本動物学会第82回大会
    • 発表場所
      旭川市大雪アリーナ
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] Are there GnRH-producing cells in the hindbrain and the spinal cord of vertebrates?2011

    • 著者名/発表者名
      Toru Takigawa
    • 学会等名
      第17回小型魚類研究会
    • 発表場所
      東レ総合研修センター
    • 年月日
      2011-09-08
  • [学会発表] 脊索動物に脊椎動物の起源を探る2011

    • 著者名/発表者名
      日下部岳広
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      京都大学百年記念ホール(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-31
  • [学会発表] The tunicate nervous system : insights into the origin of vertebrate-specifie traits2011

    • 著者名/発表者名
      Takehiro G.Kusakabe
    • 学会等名
      第8回国際比較生理生化学会議
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(招待講演)
    • 年月日
      2011-06-05
  • [学会発表] 神経系の発生と多様性:脊索動物モデル・ホヤから脊椎動物モデル・メダカへの展開2011

    • 著者名/発表者名
      日下部岳広
    • 学会等名
      第9回関西小型魚類勉強会
    • 発表場所
      産業総合技術研究所、尼崎(招待講演)
    • 年月日
      2011-05-12

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公開日: 2013-06-26  

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