研究課題
一般的に細胞内のオルガネラ間輸送は、膜オルガネラから出芽した輸送小胞が、標的の膜オルガネラに運ばれて融合するという"小胞輸送"を介して行われる。しかし、リソソームへの輸送に関しては、膜オルガネラ同士が直接融合・再形成することにより達成されるという点で非常にユニークである。具体的には、後期エンドソーム、ファゴソーム、オートファゴソームはリソソームと直接融合し、外来物質や自身の構成成分の分解が達成される。しかし、このようなリソソームのダイナミックな細胞内動態がどのような分子メカニズムで制御されているかに関しては殆ど理解が進んでいない。申請者はこれまでに、低分子量Gタンパク質Arl8が、リソソームと後期エンドソームの融合に重要であることを見出している。線虫Arl8欠損変異体ではリソソームと後期エンドソームが殆ど起こらず、エンドサイトーシスにより取り込まれた物質がリソソームに到達しない。そこで平成23年度においては、このような線虫Arl8欠損変異体の表現型を利用して、リソソームのダイナミックな細胞内動態を制御する因子群のスクリーニングを行った。具体的にはリソソームマーカーとしてLMP-1-GFPを発現するトランスジェニック線虫に対して、リソソームの膜タンパク質群に関してFeeding RNAiを行い、線虫Arl8欠損変異体と同様の表現型を示すものをスクリーニングした。その結果、HOPS複合体のコンポーネントの機能低下が、線虫Arl8欠損変異体と同様の表現型を示すことを見出した。HOPS複合体はSNAREを介した膜融合を制御すると考えられていることから、Arl8がHOPS複合体を介してリソソームと後期エンドソームの膜融合を制御する可能性が示唆された。
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