研究課題
本年度は、Cell Competitionが起こりやすく、かつ、研究代表者が以前に見いだしたアポトーシス細胞貧食受容体のDraperとIntegrinの両方を欠損した変異体ショウジョウバエ株を樹立するための実験に終始した。しかし、その過程で、DraperとIntegrinの両方を欠損したショウジョウバエは、対象ショウジョウバエと比較して、成虫になるまでの時間が長くなっていることが見いだされた。(論文投稿中)ショウジョウバエの初期発生過程で細胞の増殖や分化に何らかの不具合が生じると、それを正常に戻すための生体反応が起こり、それに要する時間の分だけ幼虫期間が長くなることが知られる。よって、上記の現象は、胚および幼虫においてアポトーシス細胞の貧食除去が正常に行われなかったために、細胞の増殖や分化に依存した形態形成などが十分に進まず、幼虫の期間が延長されたことを反映すると推測される。"初期発生時のアポトーシス細胞貧食除去の必要性"はいくつかの現象において示されているが、その詳しい仕組みは不明である。今回発見された現象の解析をさらに進めれば、その課題にせまることができると期待される。一方、本計画の主課題である"Cell Competitionにおいて生じるアポトーシス細胞の除去不全が癌発症につながる"という仮定の検証は来年度に持ち越される。解析対象となるショウジョウバエ株の樹立まであと少しの段階に来ており、23年度にはそれらを用いて解析を進める予定である。
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Development, cirowth & Differentiation
巻: 53 ページ: 149-160
実験医学
巻: 28 ページ: 1055-1601