研究課題
本研究の目的は、"癌の発症はCell Competition(細胞競合)における貪食不全に起因する"という仮説を、ショウジョウバエを利用した解析を行って検証することにある。平成23年度では、研究代表者が見いだした2つの貪食受容体であるDraperとIntegrinの両方を欠損したショウジョウバエ株にCell Competitionが起こりやすくなる遺伝子変異を導入することを目的として研究を行った。具体的な研究成果は以下の通りである。1.Cell Competitionを解析するためのショウジョウバエ系統の作成RNAi法によづてDraper、とIntegrinの両方の発現を低下させるショウジョウバエ系統の樹立に成功した。また、熱ショックを与えることによりMinute変異体が導入されてCell Competitionが起こりやすくなるショウジョウバエ系統の樹立にも成功した。2.Minute変異をモザイクで持つショウジョウバエ系統の作成熱ショック(38℃、約1時間)をかけることにより、ショウジョウバエの各組織において部分的に遺伝子組換えを起こし、Minute変異細胞をモザイクとして持たせる実験条件を確定することができた。次は、モザイクMinute変異体とDraper & Integrin欠損を組み合わせて、成虫原基における"余分な細胞"の出現が貧食受容体の欠損に依存するかどうかを調べる。そして、余分な細胞を多く持つショウジョウバエの表現型を調べ、癌の発症程度を知る。残念ながら、これらの解析については本研究課題の設定期間中には実施できず、期間を越えて取り組む予定である。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Journal of Biological Chemistry
巻: Vol.286 ページ: 25770-25777
10.1074/jbc.M110.204503
実験医学別冊細胞死実験プロトコール
ページ: 169-174