研究概要 |
申請書に記載の研究計画に基づき、以下の研究を行った。 種々の動物に由来するCRYのcDNAを用いた解析を行うためにまず、各種動物(アフリカツメガエル、ウズラ、ゴマアイゴ等)よりのクリプトクロム遺伝子の全長cDNAを単離した。これらのクリプトクロムは概日時計タンパク質であるBMALやCLOCKと相互作用する可能性が考えられるため、まず、哺乳類細胞を用いた転写アッセイによる転写制御の有無を解析した。その結果、アフリカツメガエルのCRY1,CRY2は転写を抑制したものの、アフリカツメガエルCRY4,ゴマアイゴCRY1,CRY3は転写を抑制しなかった。このことは、これらが概日時計とは異なる機能に関わる可能性を示唆している。そこで、ゴマアイゴの脳において発現を調べたところ、月周時計に関与する可能性が見いだされた[Fukushiro et al.(2011)]。 次に、ニワトリのCRYと相互作用する分子をツーハイブリッドスクリーニングにより探索した。その結果、すでに初年度において得られていたCRY4の相互作用分子(CRIP1-3)に加えて、CRY1,CRY2と相互作用する分子のcDNAを単離することができ、これらをCRIP4,CRIP5と命名した。これと並行して、初年度に構築した光による遺伝子制御系を高等真核細胞で実現するために、cCRY4に蛍光タンパク質およびK-ras4Bの膜結合配列を付加し、膜への結合解離を可視化した。今後はCRIPを膜から光依存的に解離させるための各種の条件設定を行う予定である。 上記のように本研究では、光依存的な遺伝子発現調節システムを改良すると共に、新たにスイッチの候補となる分子を同定することに成功した。
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