研究概要 |
光受容タンパク質であるクリプトクロム(CRY)に着目し、CRYを利用した光による遺伝子活性制御を試みた。光センサーとしてのCRYの解析のためにまず、種々の動物に由来するCRYの解析を行った。各種動物(アフリカツメガエル、ウズラ、ゴマアイゴ等)よりクリプトクロム遺伝子の全長cDNAを単離した。これらのCRYは概日時計タンパク質であるBMALやCLOCKと相互作用する可能性が考えられるため、まず、哺乳類細胞を用いた転写アッセイによる転写制御の有無を解析した。その結果、アフリカツメガエルのCRY1, CRY2は転写を抑制したものの、アフリカツメガエルCRY4,ゴマアイゴCRY1, CRY3は転写を抑制しなかった。このことは、これらが概日時計とは異なる機能に関わる可能性を示唆している。そこで、ゴマアイゴの脳において発現を調べたところ、月周時計に関与する可能性が見いだされた。これと並行して、ニワトリのCRYと相互作用する分子をツーハイブリッドスクリーニングにより探索した。その結果、複数のCRYの相互作用分子を単離することができ、これらをCRIP1-5と命名した。CRYとCRIPの相互作用を利用し、真核細胞である酵母において任意の遺伝子のスイッチングに成功した。 上記のように本研究では、CRYの新機能の糸口をつかむと同時に、光依存的な遺伝子発現調節システムを構築し、新たにスイッチの候補となる分子を同定することに成功した。
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