集団細胞移動機構は、単一細胞の細胞移動解析研究だけでは、解明することができず、異なったパラダイム"細胞間シグナル相互作用"を含めた解析が必要である。しかしながら、集団細胞挙動解析に適した可視化モデルは十分とはいえない。そこで、集団細胞移動のモデルとしてin vivoでの細胞挙動観察が容易なゼブラフィッシュの側線原基を利用する。本年度は、側線原基細胞集団全体で発現するGal4ラインとして、ClaudinBプロモータ-下流で、Gal4と赤色蛍光タンパク質RFPの融合タンパク質発現させるトランスジェニックラインを複数作成したが、目的通りの側線原基での発現が見られるラインの確立には至っていない。一方、エンハンサートラップ法によって、Gal4がランダムにゲノム中に挿入されたトランスジェニックラインから、側線原基の一部でGal4が発現するラインを複数得る事ができた。また、細胞間シグナルとして重要なNotchシグナルの変異体mibでは、側線原基の移動が遅れることから、Notchシグナルが側線原基の移動に関与する事を明らかにした。また、細胞挙動可視化トランスジェニックラインとして、Lifeact-GFPをGal4転写因子の応答配列であるUASの下流に配置したUAS; Lifeact-GFPを作成し、ラインとして確立中である。Notchシグナル変化における側線原基細胞挙動の詳細を解析するため、このラインをMib変異体との交配を行っている。
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