研究課題/領域番号 |
22657048
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 素行 名古屋大学, 理学研究科生命理学専攻, 准教授 (20377906)
|
キーワード | ゼブラフィッシュ / 細胞挙動 |
研究概要 |
集団細胞移動機構は、単一細胞の細胞移動解析研究だけでは、解明することができず、異なったパラダイム"細胞間シグナル相互作用"を含めた解析が必要である。しかしながら、集団細胞挙動解析に適した可視化モデルは十分とはいえない。そこで、集団細胞移動のモデルとしてin vivoでの細胞挙動観察が容易なゼブラフィッシュの側線原基を利用する。本年度は、連携研究者である川上浩一国立遺伝研教授との共同研究により、Gal4がランダムにゲノム中に挿入されたトランスジェニックラインの中から、側線原基にGal4の発現が認められるラインを入手し、トランスジェニックラインを系統確立した。さらに、細胞間シグナルの可視化モデル動物の系統確立・解析として、Notch応答性プロモータ配列TP-1プロモータを用い、その下流にGFP遺伝子をつなげたレポーターを持つトランスジェニックモデルを確立した。そのレポーターの発生期での発現経時変化を解析した結果、主な発現部位として嗅覚系細胞や心臓が認められたが、神経系での発現は見られなかった。また、側線原基細胞移動を時空間的に解析するための細胞骨格挙動イメージングモデル開発として、アクチン挙動をライブ可視化するため、UAS配列下流にF_Actinを認識するペプチドLifeact-GFPトランスジェニックラインを確立した。さらに、Notchシグナル変異体バックグラウンドでの側線原基細胞のアクチン挙動を観察するため、このトランスジェニックラインとNotchシグナル変異体とを交配し、次世代を生育中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度に終える予定であった、微小管に結合するタンパク質MAP,EB1などと蛍光タンパク質GFPを結合させた融合タンパク質を発現する細胞骨格挙動可視化トランスジェニックラインの確立が現在も進行中である。。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、計画目標2)細胞内・細胞間・細胞骨格挙動イメージング動物モデルの作製と計画目標3)側線原基細胞集団全体のライブ観察動物モデルと細胞内・細胞間・細胞骨格挙動イメージング動物モデルを用いたin vivoでの細胞間シグナルによる集団細胞移動制御機構の解明を行う。Notchシグナル関連遺伝子群の機能阻害、gammasecretase阻害剤など)に、側線原基細胞の細胞骨格挙動や細胞内シグナル活性化に変化が見られるかどうかを調べる。側線原基細胞集団全体と集団内個別細胞、両者を統合的に解析し、Notchシグナルによる集団細胞移動制御の仕組みを明らかにする。
|