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2011 年度 実績報告書

多数の核ゲノムコード遺伝子座を標的にした分子系統解析の試み

研究課題

研究課題/領域番号 22657060
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

熊澤 慶伯  名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 教授 (60221941)

キーワード分子系統 / 次世代シーケンサ / 爬虫類 / ヘビ類 / 核ゲノム / cDNA
研究概要

核ゲノムにコードされる遺伝子には一般にイントロンが含まれるため、そのcDNA全長塩基配列を複数の動物種から迅速に並列解読して分子系統解析を行うことは従来容易でなかった。本研究では、その目的のために次世代シーケンサーを用いたアプローチを試みた。平成23年度は、新たに3種の有鱗類の肝臓からmRNAを調製し、細断した後ランダムプライマーからの逆転写を行い、Roche GS FLX型次世代シーケンサーによってcDNA断片塩基配列を網羅的に決定した。これらをアセンブルさせBLAST解析を行うことで、個々の遺伝子の帰属を行った。その結果、それぞれの種から100以上のほぼ完全長のcDNA塩基配列を迅速かつ正確に決定できた。前年度に取得したシマヘビの高発現遺伝子のcDNA塩基配列をqueryにして、他の3種のデータに対してBLAST検索を行うことで、4種間の高発現遺伝子の共通性を調べた。また、グリーンアノール(イグアナ下目)を含む脊椎動物のモデル生物において、当該遺伝子のホモログをEnsembAデータベースを用いて検索し、パラログの出現によって誤った系統関係を導くことが懸念される遺伝子を除外した。以上の検討の結果、シマヘビにおいて発現量の多い100遺伝子のうちで11遺伝子を有鱗類の系統解析に適した遺伝子として選抜した。これらの中にはAPOB遺伝子のように極めて長い鎖長を持つものも含まれていた。これらの遺伝子を結合したデータセットを用いてベイズ系統解析を行ったところ、ヘビ類がイグアナ下目+アンギストカゲ下目と姉妹群を形成するという系統関係が高い事後確率を伴って支持された。今後、更に詳細な統計検定を行って、ヘビ類の系統的位置づけを確定させるとともに、本研究の手法を爬虫類の別の系統的問題に応用することで、核遺伝子を用いた有用な系統推定の手法として確立していきたい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Characterization of squamate olfactory receptor genes and their transcripts by the high-throughput sequencing approach2012

    • 著者名/発表者名
      Dehara Y, Hashiguchi Y, Matsubara K, Yanai T, Kubo M and Kumazawa Y
    • 雑誌名

      Genome Biology and Evolution

      巻: 4(4) ページ: 602-616

    • DOI

      DOI:10.1093/gbe/evs041

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mitochondrial DNA variability within Uromastyx ornata philbyi (Agamidae : Squamata) from southwestern Saudi Arabia2012

    • 著者名/発表者名
      Amer SAM, Mohamed MA, Wilms TM, Shobrak M, Kumazawa Y
    • 雑誌名

      Comparative and Functional Genomics

      巻: 2012 ページ: 851379

    • DOI

      10.1155/2012/851379

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mitochondrial genomes of two African geckos of genus Hemitheconyx (Squamata : Eublepharidae)2012

    • 著者名/発表者名
      Jonniaux P, Hashiguchi Y, Kumazawa Y
    • 雑誌名

      Mitochondrial DNA

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Preliminary molecular variability within Uromastyx aegyptia microlepis (Reptilia : Agamidae) inhabiting Saudi Arabia2011

    • 著者名/発表者名
      Amer SAM, Montaser MM, Kumazawa Y
    • 雑誌名

      World Applied Sciences Journal

      巻: 12 ページ: 1955-1961

    • 査読あり
  • [学会発表] 有鱗目におけるトランスクリプトームプロファイル:核遺伝子を用いた系統解析を目指して2011

    • 著者名/発表者名
      栗崎政希、松原和純、鳥羽通久、熊澤慶伯
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      京都大学(京都市)
    • 年月日
      2011-08-30
  • [学会発表] 次世代シーケンシングによる新規ミトコンドリアゲノム配列決定の効率性と正確性2011

    • 著者名/発表者名
      熊澤慶伯
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      京都大学(京都市)
    • 年月日
      2011-08-30
  • [学会発表] ヤモリ類の系統関係とミトコンドリアゲノムの遺伝子配置の変動2011

    • 著者名/発表者名
      熊澤慶伯、三浦沙綾、ピエールジョニオ、山田知江美、橋口康之
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      京都大学(京都市)
    • 年月日
      2011-08-30
  • [学会発表] カメ類のミトコンドリアゲノムにおける分子進化速度の不均一性2011

    • 著者名/発表者名
      山田知江美、柴田弘紀、熊澤慶伯
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      京都大学(京都市)
    • 年月日
      2011-08-30
  • [備考]

    • URL

      http://www.nsc.nagoya-cu.ac.jp/~kuma/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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