研究課題/領域番号 |
22657064
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
森田 健 福岡女子大学, 人間環境学研究科, 教授 (20326474)
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研究分担者 |
辻村 誠一 鹿児島大学, 工学部, 准教授 (10381154)
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キーワード | 環境 / 生理学 / 光 / 生体リズム |
研究概要 |
光はヒトの生体リズムに強くかかわっており、特に夜間に浴びる光は睡眠や体温、内分泌リズムをかく乱し、人の健康に大きな影響をもたらす。しかし、現代生活には夜間の人工照明が必須であり、行動・行為上で必要とする明るさを得ることと、生体リズムへの影響を少なくすることのジレンマを抱えている。 本研究は、我々が予備実験から見出した、生体リズムに関わる受光器であるメラノプシンを含む神経節細胞(以下mRGCと略す)の光刺激に対する周波数特性を更に充実させ、それを基に、上記ジレンマを解決する光源・照明装置開発への知見を得ることを目的としている。 本年度は、研究分担者である辻村が開発した多原色光源装置を用いて、輝度刺激値を一定とし、mRGCだけを選択的に刺激する条件を設定し、mRGCの光反応特性を網膜電図を用いて確認した。その結果、本研究における光刺激装置は、目的とするmRGCへの選択的刺激が十分に行えること、光刺激に対するmRGCの反応を錐体と分離して把握可能なこと、及びmRGCは光刺激on及びoff時に80msec程度の潜時を持って陽性反応を示すことを確認した。この考え方を基に明るさ(輝度)は同一とし、mRGC刺激値が異なる2つの光源・照明装置のプロトタイプを製作し、その光条件下でのメラトニンホルモン分泌への影響を確認したが、両者の差を十分に把握できるところまでには至らなかった。また、周波数変調を加えた光刺激が生体リズムに与える影響把握においても検討の余地が残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究遂行上のポイントであった光刺激装置を用いたmRGCの特性把握については十分な成果を挙げることができた。しかし一方で、その光刺激がもたらす生体リズム(メラトニンホルモン分泌)への影響についてはやや検討の余地が残る結果であった。
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今後の研究の推進方策 |
光刺激装置の改善・修正を行うとともに、実験条件(実験時刻、被験者の特性把握など)を再考し、今年度十分に行えなかった、周波数変調を加えた光刺激の生体リズムへの影響把握を継続する。
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