• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

作物細胞における過酸化水素の分布を観察する電顕レベル組織化学手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22658005
研究機関名古屋大学

研究代表者

三宅 博  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60134798)

研究分担者 山根 浩二  近畿大学, 農学部, 講師 (50580859)
キーワード塩ストレス / 活性酸素 / 作物 / 植物 / ストレス / 組織化学 / 電子顕微鏡
研究概要

過酸化水素は、作物のストレス作用物質あるいはシグナル伝達物質として重要である。本研究は、CeC13法およびDAB法を改良して電顕レベルで過酸化水素を検出する組織化学手法を確立することを目的とする。塩ストレス処理をおこなったイネの葉についてCeC13法とDAB法で過酸化水素の分布を調べたところ、いずれも葉緑体チラコイドの周囲に反応産物が検出された。またミトコンドリア、ペルオキシソーム、細胞膜にも過酸化水素が検出された。従来CeC13は組織内への浸透が困難とされ、表皮における過酸化水素の分布観察に用いられていたが、本研究において真空浸潤でCeC13を組織内に浸透すること、組織の切り出し口より5μm以内の部位を観察することによりオルガネラ内の過酸化水素を検出できた。一方、DAB法では過酸化水素との反応産物生成のためにペルオキシダーゼの活性が必要であり、従来は外部から過酸化水素を与えて、細胞内のペルオキシダーゼ活性の分布観察に用いられてきた。しかし本研究において、イネの葉では塩ストレスの有無によってペルオキシダーゼ活性に差はなく、ペルオキシダーゼ活性に影響されずにDABで過酸化水素の局在観察が可能であることが明らかになった。CeC13およびDAB法でほぼ同様の結果が得られたことから、両手法の信頼性は高いと考えられる。CeC13法を用いて、二種類の葉緑体を持つNADP-ME型C4植物のトウモロコシにおける塩ストレスによる過酸化水素の発生を調べた。障害が顕著に発生する葉肉葉緑体において、チラコイドの周辺に過酸化水素が発生していることが観察された。一方、維管束鞘葉緑体では塩ストレスによってアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)とデヒドロアスコルビン酸レダクターゼ(DHAR)の活性が高まり、過酸化水素が有効に除去され、障害が現れにくくなっていると考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Salinity-induced subcellular accumulation of H_2O_2 in leaves of rice2012

    • 著者名/発表者名
      Yamane K, et al
    • 雑誌名

      Protoplasma

      巻: 249 ページ: 301-308

    • DOI

      10.1007/s00709-011-0280-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adaptation responses in C_4 photosynthesis of maize under salinity2012

    • 著者名/発表者名
      Omoto E, et al
    • 雑誌名

      Journal of Plant Physiology

      巻: 169 ページ: 469-477

    • DOI

      10.1016/j.jplph.2011.11.009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Salt-induced chloroplast protrusion is the process of exclusion of ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase from chloroplasts into cytoplasm in leaves of rice2012

    • 著者名/発表者名
      Yamane K, et al
    • 雑誌名

      Plant, Cell and Environment

      巻: (in press)

    • DOI

      10.1111/j.1365-3040.2012.02516.x

    • 査読あり
  • [学会発表] 塩ストレス下におけるイネ葉緑体内の過酸化水素の局在2012

    • 著者名/発表者名
      山根浩二, 他
    • 学会等名
      日本作物学会第233回講演会
    • 発表場所
      東京農工大学農学部(府中)
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] 塩ストレスによるトウモロコシの葉肉葉緑体と維管束鞘葉緑体における活性酸素種の分布と抗酸化酵素活性の変化2012

    • 著者名/発表者名
      大元英司, 他
    • 学会等名
      日本作物学会第233回講演会
    • 発表場所
      東京農工大学農学部(府中)
    • 年月日
      2012-03-29
  • [備考]

    • URL

      http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~shigen/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi