研究概要 |
本研究では,まずカキ(Diospyros kaki)の近縁二倍体野生種であるマメガキ(D.lotus)のF1分離集団を用いて,マメガキにおける雌雄性の遺伝子マーカーを開発し,ゲノムライブラリーからマメガキの雌雄性制御因子をポジショナルクローニングする.引き続いて,マメガキで得られた知見を六倍体である栽培ガキにフィードバックして,カキにおける雌雄性の遺伝子マーカーの開発と雌雄性の遺伝制御機構の解明を行う予定である.研究開始初年度にあたる本年度は,以下の研究を行った. 1) マメガキにおける雌雄性遺伝様式の調査 開花樹齢に達している5年生マメガキ実生のF1分離集団の雌雄性の調査を行ったところ,雄株と雌株がほぼ1:1の割合で分離していた.しかしながら,まだ開花していない個体が存在することや樹齢によって雌雄性が変化する可能性も考えられるので,次年度以降の継続調査が必要である. 2) マメガキとカキにおける花芽分化様相の調査 マメガキの雄株と雌株,雄花と雌花の両方を着生するカキ'禅寺丸',そして雌花のみを着生するカキ'平核無'の腋芽を経時的に採取して,花芽形成を実体顕微鏡とSEMにより観察したところ,雌花より雄花において分化時期が早く,またカキよりマメガキで花芽分化時期が早いようであった. 3) バルク法による雌雄性マーカーの開発 上記,開花樹齢に達しているマメガキの雄株と雌株をそれぞれ5個体選んでバルクを作製して,AFLP解析を行い,雄株あるいは雌株特異的なバンドを探索したところ,いくつかの雌雄性特異的バンドを検出できた.これらのPCRマーカー化を次年度に行う予定である.
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