研究課題/領域番号 |
22658018
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
徳田 岳 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (90322750)
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研究分担者 |
守屋 繁春 独立行政法人理化学研究所, 守屋バイオスフェア科学創成研究ユニット, ユニットリーダー (00321828)
菊地 淳 独立行政法人理化学研究所, 先端NMRメタボミクスチーム, チームリーダー (00321753)
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キーワード | シロアリ / セルロース分解 / NMR / メタボローム / 消化管 / 昆虫生理 |
研究概要 |
シロアリ類による効率的な木材分解の仕組みは多くの研究者の注目を集めてきた。本研究では消化管内に存在するセルロース分解産物や代謝物の多様性と分布を一次元(1H)および二次元核磁気共鳴法(^1H,^<13>C NMR)を用いて調べることによって、セルロース分解に関連する新規の代謝系の探索とそれらが関与する消化管部位の推定を試みた。 実験材料として屋久島にて採集されたオオシロアリを用い、^<12>Cセルロース摂食個体群(コントロール)と酢酸菌に合成させた^<13>Cセルロース(ナタデココ)摂食個体群を用意し、同一条件下で飼育した。摂食開始後は24時間まで3時間おきに解剖を行い、各消化管部位別(前腸・中腸・後腸前半部・後腸後半部)にNMR用サンプルを調整した。また24時間後以降は24時間おきに解剖を行い、1週間にわたるサンプル調整を行った。これらのサンプルの間でNMRスペクトルの比較を行い、消化管内におけるセルロース分解・代謝産物分布の経時変化を記録する。さらに一定期間の^<13>Cセルロース摂食後、通常のセルロースを摂食させ、経時的に消化管内に残存する^<13>Cセルロースの代謝物変化を記録した。この際、餌として用いたセルロースについてもNMRスペクトルを記録した。 その結果、摂食直後から前腸におけるセロオリゴ糖濃度が急激に上昇し、中腸では高濃度のアミノ酸蓄積が認められた。後腸においては、通常のセルロース分解系以外に加リン酸分解による代謝系の存在も示唆された。興味深いことに、土壌と常に接触していたシロアリは木材のみを摂食させたシロアリに比べて、消化管各部におけるアミノ酸を含む各種代謝物濃度が高くなる傾向があることが認められた。
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