研究課題/領域番号 |
22658029
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
原 啓文 岡山理科大学, 工学部, 講師 (80511071)
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キーワード | 放線菌 / ロドコッカス属 / ゲノム / 抗生物質生産 / 転写誘導 |
研究概要 |
ロドコッカス属細菌は、環境保全やバイオテクノロジーにおいて高い重要性を持つ、高G+Cの好気性のグラム陽性細菌である。Rhodococcus jostii RHA1株の全ゲノム解析の結果、RHA1株はポリケチド合成酵素(PKS)や非リボソーム型ペプチド合成酵素(NRPS)を含む多くの二次代謝産物生合成遺伝子群を有していることが明らかとなった。本研究では、RHA1株に存在する全ての二次代謝産物生合成遺伝子群の誘導条件を明らかにすることを目的とし、平成23年度は染色体上に存在するII型PKSと相同性を有する遺伝子(ro00739,ro01201,ro01257)、PKS-NRPS融合型遺伝子(ro02209)について誘導条件の探索を行った。 まず始めに、それぞれの二次代謝生合成遺伝子内部に赤色蛍光タンパク質(RFP)を挿入した遺伝子組換え体を構築した。得られた遺伝子組換え体を栄養条件、塩濃度、炭素源、窒素源、リン酸源の異なる液体・固体培地で1週間培養し、細胞抽出液を調整し野生株と蛍光強度を比較した。その結果、富栄養条件の液体培地において、全てのII型PKSにRFPを挿入した遺伝子組換え体において蛍光値の有意な増加が認められた。一方、PKS-NRPS融合遺伝子であるro02209は栄養条件に関わらず固体培地でのみ、蛍光値の有意な増加が認められた。II型PKSであるro01257は、安息香酸を唯一の炭素源とした場合、液体培地でのみ蛍光値の有意な増加が認められた。 昨年度の結果と比較すると、II型PKSは液体培地で、プラスミドに存在するNRPSは固体培地でのみ特異的な条件下で転写誘導されることが明らかとなった。今後生産される二次代謝産物の構造を決定することで、二次代謝産物の生理学的な役割が明らかになっていくことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Rhodococcus jostii RHA1株に存在する二次代謝産物生合成遺伝子群のうち、半数以上のRFP遺伝子組換え体を作製し、その誘導条件を特定している。このまま順調に進めば、RHA1株に存在する全ての二次代謝産物生合成遺伝子群の誘導条件が特定できることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析では、誘導条件は特定できているが化合物の特定は出来ていないのが現状である。現在急ピッチで化合物同定のためのHPLC,LS-MS,NMR解析の準備を進めている。今後は、各二次代謝産物生合成遺伝子の誘導条件として特定された条件を用いて、RHA1株由来の二次代謝産物の同定を進めていきたい。
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