1.出芽酵母のEar1とSsh4はいずれもmultivesicular bodyに局在するタンパク質で、PPxY(Pro-Pro-x-Tyr)モチーフを有する。Ear1とSsh4を過剰発現させたところ、トリプトファン要求性のYPH499株が25MPaの高圧条件下で増殖可能となった。トリプトファン要求株における高圧増殖の支配要因は、細胞膜に局在するトリプトファン輸送体Tat2の機能である。高圧下でTat2はRsp5ユビキチンリガーゼによってユビキチン化され、分解される。Ear1とSsh4の過剰発現株では、Tat2の分解が抑えられ安定化していることがわかった。EarlとSsh4はRsp5のWWドメインと相互作用することが知られている。従って、Ear1とSsh4はPPxYモチーフを介してRsp5のWWドメインと相互作用し、Tat2のユビキチン化を負に制御する因子であることが期待される。そこで現在、Ear1-RFP、Ssh4-RFP、およびRsp5-GFPの発現ベクターを構築中である。すなわち、Rsp5と両タンパク質が細胞内で真に相互作用しクラスターを形成するならば、結果としてGFPの蛍光寿命が短くなるはずである。 2.蛍光寿命FRETの実施のため、現在、蛍光寿命測定装置FluoroCubeを用いた予備実験を行っている。市販のGFPタンパク質を緩衝液に溶解し、470nmのレーザー光源を用いて蛍光寿命を測定したところ、4~6nsという値が得られた。10nm以内の近傍にRFPなどのエネルギー受容体が存在すれば、この値はより短くなることが予想される。
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