研究課題
Rhodococcus rhodochrous J1菌の低分子量(L-)型ニトリルヒドラターゼ(NHase)の生成機構を研究している過程で、本酵素の構造遺伝子の下流に位置するnhlE遺伝子由来のタンパク質eがL-NHaseのαサブユニットとαe_2複合体を形成し、本複合体αe_2上でαサブユニットが翻訳後修飾され、生成したホロαe_2とアポL-NHaseのαサブユニット間での置換反応によりホロ酵素が生成する新規翻訳後修飾機構を発見した(self-subunit swappingと命名)。J1菌の保持するもう1つの高分子量(H-)型NHaseもL-NHaseと同様にself-subunit swapping機構により翻訳後修飾され活性化することを実証した。動的光散乱法によりH-NHaseのアポ酵素とホロαg_2複合体の粒径を測定したところ、それぞれ単一の粒子径ピークが確認でき、各々のサイズは計測中変化しなかった。アポ酵素とホロαg_2複合体を混合し、self-subunit swappingが起こっている反応溶液中の粒子径を測定したところ、ホロαg_2複合体の粒子径に相当するピークとアポ酵素より大きい粒子径に相当するピークの2つが検出された。計測中、ホロαg_2複合体に相当する粒子径は変化しなかったが、もう一つはアポ酵素より大きい粒子径で様々な粒子径変動が確認できた。これらの結果より、self-subunit swapping中に確認されたアポ酵素より大きい粒子はアポ酵素とホロαg_2複合体からなる中間複合体と示唆された。また、中間複合体は様々なサイズ分布を示すことから、様々な大きさの中間複合体の存在が示唆された。これらの結果を考慮し、self-subunit swappingによる翻訳後成熟化機構モデルを新たに提唱した。
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Biochemistry
巻: 49 ページ: 9638-9648
バイオサイエンスとインダスハグー
巻: 68 ページ: 113-116