生物活性物質の標的分子の同定は、生物活性物質の作用機構を解明する上で最も重要であり、それは生物活性物質が関与する未知の生命現象を分子レベルで明らかにするための手がかりを与える。本研究では、生物活性物質をダイマー化したプローブを用いて分子標的を同定する方法の開発を試みた。カビのマイコトキシン生産を特異的に阻害する化合物とキチナーゼ阻害物質アロサミジンをモデル化合物とした。各種誘導体の構造と活性をもとに、トリコテセン阻害物質であるプレコセンIIのダイマーを調製したが、活性を保持したダイマーを得ることはできなかった。そこで、既知の方法ではあるが最新の手法であるクリックケミストリーと磁気アフィニティービーズを用いる方法を適用し、旧来のフォトアフィニティプローブを用いる方法と比較しながら、標的分子の同定を進め、候補タンパク質の同定に至った。アロサミジンのダイマー化は、目的の部位でのダイマー化には至っておらず、現在さらなる実験を進めている。
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