研究課題
本研究は3つの部分から構成される。1つはリポソームの調製であり、2つめは指向性を有する糖鎖の構築とそれを用いたリポソームの修飾である。最終的に糖鎖修飾リポソームのDDSキャリアーとしての指向性の評価である。当該年度においては、第一段階の研究である、リポソームの調製を行った。リポソームの調製において主体となるリン脂質に加えて、ガングリオシド(シアル酸を有するスフィンゴ糖脂質)の添加が有効であることが知られている。その添加剤として牛の脳などから抽出したガングリオシドが用いられてきたが、希少性や不均一性の問題からリポソームの大量調製が阻まれており、本研究では、化合合成ガングリオシドによる代替が可能がどうかを検討した。抽出ガングリオシドの主要成分であるGM3に着目し、糖鎖部分の構造-活性相関、脂質部分の構造活性相関を検討し、合成コストの点も勘案し、安価で大量合成が可能なガングリオシドとして植物型セラミド含有GM3をリード化合物として見出した。それを用いてリポソームを調製した。さらに得られたリポソームは、粒子径、分布、ゼータ電位などが抽出ガングリオシド含有リポソームと同等であることが明らかになった。炎症部位に発現するセレクチンとそのリガンド糖鎖であるシアリルイスXをモデルとして当該リポソームの指向性を評価したところ、抽出ガングリオシドを用いたリポソームと同等、あるいはそれ以上の良好な結果を示した。
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Chem. Eur. J.
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Tetrahedron Lett.
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http://wwwl.gifu-u.ac.jp/~kassei/