研究課題
腸管樹状細胞は、腸管免疫系の応答調節に重要な役割を果たし、食品による免疫調節の標的となっている。しかしながら、現時点では、腸管樹状細胞はマウス等の実験動物から直接分離して実験する以外方法がなく、腸管から細胞を分離する困難さから、食品の腸管樹状細胞を介した免疫調節機能を評価することは困難である。そこで、本研究においては、食品の腸管樹状細胞を介した免疫機能を評価する次世代評価系を構築することを目的とする。本年度は、骨髄細胞からの腸管型樹状細胞誘導を目的として、マウス骨髄細胞を種々のサイトカインやレチノイン酸を組み合わせて添加して培養し、遺伝子および細胞表面分子の発現を解析した。その結果、GM-CSF+IL-4+レチノイン酸の条件で、腸管樹状細胞の特徴の一つであるレチノイン酸産生に関わる酵素Aldh1a2の発現が特に高く、またTLRリガンド刺激によりさらなる発現上昇が認められた.添加条件により、CD11bやCD103で規定される樹状細胞のサブセット、あるいはIL-12ファミリー等のサイトカイン発現のパターンが異なることが確認された。このようにして誘導された腸管型樹状細胞を用いて、食品因子に対する応答を解析が可能と考えられた。また今後、腸管型樹状細胞それぞれのサプセットを誘導できる条件を検討すれば、よりち密な解析が可能となると期待される。
2: おおむね順調に進展している
本年度計画で最も重要となっていた、骨髄細胞から腸管型樹状細胞への誘導条件が確認できた。
骨髄細胞から誘導された腸管型樹状細胞の性質をさらに詳しく解析し、食品成分等の応答性について解析する。また、腸管型樹状細胞それぞれのサブセットを誘導できる条件を検討する。
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Cytotechnology
巻: 63 ページ: 307-317
10.1007/s10616-011-9349-6