研究課題
挑戦的萌芽研究
遺伝的にアスコルビン酸合成不能の ODS ラットに、アスコルビン酸無添加飼料を 14 日間という短期間与えるだけで、肝臓では炎症様変化が起こることを我々は見出している。このアスコルビン酸の新規な機能の機構として、アスコルビン酸が腸管のバリア機能の維持因子として作用しており、アスコルビン酸欠乏によりその機能が破綻して腸管からのエンドトキシン流入が起こることにより肝臓の炎症様変化が起こる可能性を想定した。本研究の成果として、アスコルビン欠乏群では門脈血中のエンドトキシン濃度が高まることが示された。また、回腸の組織学的解析により、アスコルビン酸欠乏群では吸収上皮細胞中の杯細胞数が増加していることを見出し、アスコルビン酸欠乏による腸管の組織学的変化とバリア機能の障害が推定された。また、これらの現象は、肝臓の炎症様変化と同時期に起こることも観察した。それらの結果を踏まえて、抗生物物質を ODS ラットに投与して腸内細菌数を著減させることによりアスコルビン酸欠乏による肝臓の炎症様変化の発生の抑制の可能性を検討したが、肝臓の炎症様変化を完全に抑制することはできなかった。これらの成果から、アスコルビン酸は腸管のバリア機能を維持してエンドトキシンの血中への流入を阻止する栄養素であることが初めて示唆された。一方、アスコルビン欠乏により起こる肝臓の炎症様変化はこのエンドトキシン流入のみで引き起こされている現象ではないことも示唆された。
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