研究課題
植物個体呼吸は生命維持や成長の「コスト」であり、生命科学の重要課題である。本研究は、重力対抗体制の異なる「ツル」「タケ」「草本」「樹木」等の個体呼吸を実生~大型植物で連続的に実測する。これらは重力対抗体制が異なり、ひいては同化/非同化器官の割合も異なる。個体呼吸の実測で重力対抗特性が植物コストを制御する重要要因であることを示す。重力対抗体制で異なる個体呼吸の制御要因を解明して、包括的な陸上植物全体の機能類型化を植物個体で行うことで新学説を提案し、従来に無い陸上生態系の炭素収支研究の基本概念を構築するのが目的である。22年度はツル植物、タケ、小型植物(草本、コケ)を材料にした新たな植物個体呼吸測定方法の開発・検討を行った。ツル植物は樹木貼り付いたり、もたれ掛かったり、巻き付いたりするなど多様な形態をもっている。また、通水組織の直径が大きく、通水速度も速い、こうしたツル植物の内、フジ、ツタウルシ、アケビ、ツルアジサイなどを材料とした。これら材料を素早く切断して採取するが、測定に際しては小雨か曇りの日を選択した。また、切断後、直ちに水を掛け日陰においた、さらに材料の上から濡れた黒い布をかぶせて遮光して材料から水分が蒸発散しないようにした。その結果、切断の前後で個体呼吸速度に差は見られなかった。同様に、ササやタケ類4種についても検討した結果、材料からの蒸発散を十分に防ぎ短期間の冷暗所保存であれば、個体呼吸速度は切断の前後で変化は無かった。測定の結果、ツル植物は樹木に比べて非同化部分の割合が少なく、個体呼吸速度と重量の関係は両対数軸上で自立型の樹木と明らかに異なり、直線式で表現され、その傾きは樹木より高かった。同様に、ササ・タケ類も樹木の個体呼吸スケーリングとは明確に異なる高い傾きを示した。これらは重力に対抗する体制の違いを繁栄していると考えられた。以上本年度は、ほぼ想定した結果を得られた。
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