研究課題/領域番号 |
22658059
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
青木 宙 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特任教授 (00051805)
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研究分担者 |
廣野 育生 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (00270926)
近藤 秀裕 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (20314635)
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キーワード | RNAアプタマー / 魚類病原ウイルス / ウイルス性出血性敗血症 / ヒラメラブドウイルス病 / SELEX法 / Rhodovulum sulfidophilum / Marine Biotechnology / ヒラメ |
研究概要 |
RNAアプタマーは、ウイルスやタンパク質を標的物質として特異的に結合し、抗体に代わる分子認識が可能な生体物質として注目を浴びている。RNAアプタマーを有効利用して魚類病原ウイルスに対する治療あるいは予防が出来ないかどうかを検討した。各種の魚病ウイルスに対するRNAアプタマーを検出し、次に、これらのRNAアプタマーを沿岸や養殖場の汚泥に生息する海洋性光合成細菌(Rhodovulum sulfidophilum)を使って大量生産することを試みた。魚類ウイルス病:ウイルス性出血性敗血症の起因ウイルス(VHSV)およびヒラメラブドウイルス病の起因ウイルス(HIRRV)に対するRNAアプタマーをSELEX(Systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法(試験管内人工進化法)を用いて検出した。検出した各RNAアプタマーは、魚類病原性ウイルスVHSVあるいはHIRRVに対し強い親和性が認められ、分子標的薬として有効であることが確認できた。次いで、両RNA分子を逆転写、PCR反応で、相補的なDNAを合成した。菊池らが開発したプラスミドベクターpHSR2にこのDNAを組み込み、組換えプラスミドDNAをR.sulfidophilumに形質転換した。形質転換株は、培地中に魚病ウイルスVHSVあるいはHIRRVに親和性のあるRNAアプタマーを大量に生産した。RNAアプタマーを化学合成ではなく、海洋細菌を使用することにより、大量に生産することを、可能とした。VHSVに感染させたヒラメをVHSVに結合性のあるRNAアプタマー産生するR.sulfidophilumを含む海水中で飼育したところ、VHSVを発症せず、生存した。今後、RNAアプタマー産生するR.sulfidophilumを用いることにより、魚類ウイルス病を防御出来ることが明らかとなった。
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