研究概要 |
1.生物活性スクリーニング (1)組換え枯草菌を用いた生物活性試験 メバロン酸経路と非メバロン酸経路に対する阻害活性をを選択的に検出するために、組換え微生物を用いる。菌が本来保有するテルペノイド生合成遺伝子を不活性化した枯草菌に対して、非メバロン酸経路遺伝子群を導入した組換え枯草菌とメバロン酸経路を用いて生育する野生株を、連携研究者の葛山からの提供を受けた。これらの菌株のいずれかに対して、選択的増殖阻害作用を示す化合物は、増殖しなかった方の菌株に導入されているテルペノイド生合成経路を選択的に阻害するものと考えられる。スクリーニングはペーパーディスク法により行った。元来もっている非メバロン酸経路のみを利用して生育する菌株の増殖を阻害し、かつ、遺伝子操作によりメバロン酸経路が導入された菌株の増殖に影響を与えない試料を活性検体とした。 (2)試料 わが国沿岸各地で採取した736の海産無脊椎動物(カイメン516、コケムシ3,刺胞動物144、原索動物68)の抽出物から調製した、水溶性画分と脂溶性画分を用いた。 2.活性成分の単離 スクリーニングにて見いだされた活性検体の抽出物を、溶媒分画、逆相、ゲル濾過、順相およびイオン交換などのクロマトグラフィーに付して活性物質を精製した。最終的に、HPLCを用いて活性成分を分離した。核磁気共鳴、質量分析などの機器分析に付し、部分構造を導くことができた。さらに、二次元NMRデータを解析して、全平面構造を導く予定である。
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