研究課題/領域番号 |
22658070
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
酒井 徹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80457762)
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研究分担者 |
伊藤 亮司 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70334654)
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キーワード | 食の安全 / 農業環境政策 / 農産物流通 / 食品表示制度 / 農業経済学 / 有機農業 |
研究概要 |
本研究は、我が国で有機農産物が一般化しつつある現段階における、有機農産物市場の性格と有機農業者の課題及び政策的課題を明らかにすることを目的としている。具体的内容は、第1に、JAS有機農産物表示制度導入後における有機農産物流通の展開状況を明らかにするとともに、表示制度のメリットと課題を生産者、流通業者、消費者の各立場から明らかにすること。第2に、有機農業推進法のもとで各都道府県が策定する推進計画について、先進的事例における計画の内容及び具体的施策並びに課題を明らかにすること。第3に、以上の研究結果をもとに、有機農業推進法に基づく施策がJAS有機農産物表示制度の課題を克服する可能性と、両者の政策体系の整合性等の課題について明らかにすることである。2011年度の研究実績は次の通りである。 第1は、多様化している農産物流通の各経路における動向の把握である。有機農産物の多様な流通経路・形態のうち、JAS制度非対応群の代表的なルートである産消提携とJAS制度対応群で注目される加工業者のそれぞれについて、代表的な事例の調査を実施した。これにより、産消提携による有機農産物の流通は停滞しているものの、特定の消費者層の支持を受け、都市近郊農業としての役割を果たしていることが明らかとなった。また、加工業者は、有機農産物生産の不安定性をカバーする役割を果たしつつ、近年伸長していることが明らかとなった。 第2は、各都道府県の有機農業推進計画における有機農業の位置付け、具体的な施策、課題については、推進計画の策定が遅れていた秋田県について、調査・検討を実施した。 第3は、国際的な有機農業の商品化の動向の把握である。2011年9月に韓国で実施された国際有機農業運動連盟の世界大会に参加し、研究成果の一部を報告するとともに、情報収集を行なった。これにより、海外における有機農産物表示制度の課題に関する情報が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2011年3月に発生した東日本大震災の影響及び対応により、調査対象として想定していた有機農業の産地、生産者、流通業者、地方自治体などに対する本調査及び補足調査が実施できなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまで進めて来た文献等の整理、有機農産物流通の動向の把握、都道府県における有機農業推進計画の調査・分析、海外の情報収集の結果を取り纏め、研究分担者や研究協力者とともに分析を行ない、現段階における有機農産物市場の性格と有機農業者の課題及び政策的課題について示す。 そのなかで、有機農産物流通の動向を把握する上で分析対象として想定していた流通主体等と有機農業推進計画の分析対象として想定していた都道府県のうち、東日本大震災の影響及び対応により昨年度調査できなかった対象については、これまでに得られた情報に加え、今年度中に可能な範囲で調査を実施し、分析を行なう。
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