研究概要 |
課題(1)石灰系固化材を用いた地盤安定処理工法の技術改善の検討,ならびに課題(2)石灰系固化材で安定処理した地盤への地下水流入特性と強度発現または劣化への影響に関する検討を進めた。 (1)石灰系固化材を用いた地盤安定処理工法の技術改善の検討 1)所要の耐液状化性能を達成するために必要な石灰系固化材の添加量(質量混合比率)の目安を明らかにするとともに,特に広域の工事で懸念される初期の仮置き(安定処理土の放置)の影響を調べた。一連の検討には,一軸圧縮試験を用いた。試験因子は,添加量(標準的な質量比率5%と2.5%の2水準程度),仮置き(有り無しの2水準)および養生期間(1~8週間)とした。 2)乾燥質量比5%の添加で,確実に所要の一軸圧縮強さを確保できることを確認した.しかし,養生時間とともに強度が増加し続けるため,再掘削が容易であるとする利点が損なわれる可能性が示唆された。固化材添加後の仮置きにより強度発現が緩慢になること,また水中浸漬により強度が大幅に低下することを示した (2)石灰系固化材で安定処理した地盤への地下水流入特性と強度発現または劣化への影響に関する検討大型の安定処理土プロック(W600×D600×H300mm程度)を長期に水中浸漬することにより,安定処理土の透水性を調べ,強度の増加あるいは劣化に及ぼす影響を検討することとした。しかし,ブロック製作過程で,砂の粒度分布により固化性状が異なることが判明したため,本年度はこの粒度に関わる検討を追加中的に実施することとした。その結果,砂の粒径0.075mm以下成分および0.1mm以上の中間径成分のわずかな違いが,単独あるいは相乗的に強度発現に影響することが確認できた。
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