葉の3次元構造を破壊することなく、細胞・葉緑体レベルでのクロロフィル蛍光パラメータを解析することを目的として、コンピュータ制御が可能なリアルタイム3次元共焦点顕微鏡システムを構築した。具体的には、現有のニポウ型共焦点顕微鏡を、ニポウディスクの回転数やレーザパワーの微調整が可能なシステムに改良した。そして、回転数変化やレーザパワーの変化に伴うレーザ光の離散照射の特性を調べ、また、離散照射がクロロフィル蛍光に及ぼす影響を検討した。さらに、対物レンズを通して照射される微小領域(直径数十μm)の光量子密度の測定法を確立した。また、照射レーザ光強度を瞬時変化させるフィルターシステムを構築し、飽和パルスや環境光の時系列的な光量子密度制御を可能にした。この顕微鏡システムを用いて、環境光照射に対して、クロロフィル蛍光誘導期現象が正常に現れることを確認した。また、約1500μmolm^<-2>s^<-1>以上で光飽和をすることを示した。その際、環境光強度の違いにより、飽和パルス光照射に対するクロロフィル蛍光強度の立ち上がりに違いが見られたが、立ち上がり時間は0.15s以内で、その後、2秒以上、飽和蛍光強度を維持した。 このため、飽和光照射開始から0.2s~約2sの間に、64枚の焦点位置が異なる画像を得ることが可能になり、蛍光誘導期現象の解析だけでなく、光化学系IIを通る電子伝達の量子収率Φ_<PSII>やNPQ(Non-photochemical Quenching)などのクロロフィル蛍光パラメータの3次元解析が可能になった。
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